大好きな君にエールを*番外編





「……バーカ。勝ってもらわねーと困るっつーの」


「だよな」


俺の夢は、コイツらに頼んだ。


俺が立てない球場に、立てることが羨ましい。だけど、応援するしかない。応援することが……今の俺に出来ること。


「シゲ」


“何だよ“と答えようとした。でも、出来なかった。俺を呼んだ張本人のナオが、泣いていたんだ。


「…………ナオ?」


「……んだよ」


「なんで泣いて……」


「お前、本当に出れねぇのかよ」


え?


「なんで……こんな大事な時に……」


ナオが泣いてる。キャプテンが泣いてる。ココにいる3年全員が泣いていた。


「お前がいねぇと、俺たちも1、2年も本当は不安なんだよ。んで今なんだよ……」


俺だけが悔やんでいるわけじゃなかった。


チームメイトも、涙を流してくれるくらい俺が出れないことを悔いていた。


「俺だって……出たいよ。お前らと野球してぇよ。ずっと追いかけてた甲子園で、キャッチャー守って、ホームランもかっ飛ばしてぇよ」


でも、無理なんだ。


もう、叶わないんだ。





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