大好きな君にエールを*番外編
「シゲ……シゲっ」
「……んー」
「もうすぐ着くよ」
あたしの右肩に包帯で巻かれた頭を預けているシゲに呼びかける。
「わかった……」
あたし達は今、甲子園球場に向かっている途中で、バスの中にいる。
シゲってば、やっと主治医から外出の許可が出て甲子園に着くまで寝ないからな!って言ってたのに……今じゃこの通り寝ている。
まったく、付き添いがいてよかったと思いなさいよ、なんて心で怒る。だけど、心地良さそうな寝顔を見ると怒りも吹っ飛んじゃう。
「……可愛い奴め」
シゲのほっぺたをプニッとつまんでみる。あ、痛がった。
シゲ、お母さんから倒れたって聞いた時ね、心臓が止まりそうだったんだからね?
好きな人が……大切な人がいなくなるって怖くなったんだ。