大好きな君にエールを*番外編
「じゃあ、また!」
唖然とする運転手に片手を上げ、あたしの手を掴んで走り出すシゲ。
「ちょっ、シゲ……」
「おじさん、俺が誰だか気づいたんだな!俺ってちょっと有名人~♪気分がいいな!」
嬉しさを隠せないのか、ニコニコしながら走るシゲ。体は大丈夫なの!?
「シゲ……速いよ」
「だって、急がねーと試合が見れないだろ?もう、始まってんだぞ?」
「そ、そうだけど」
「頼む。体調悪くなったら言うから、今は俺のワガママに付き合ってくれ。な?」
そう言われたら、断れるわけないじゃん。
「よし、このままダッシュな!お前、いろんなのにぶつかんなよ?トロいんだし」
「なっ……悪かったわね!」
それに、トロくなんてないのに。
「んな顔すんな。俺がお前の左目だっての!」
告白の時に、『俺がお前の左目になる』ってシゲが言ってくれた。それが嬉しくて嬉しくて泣いてしまった。
「走るぞ!」
そしてあたし達は、全力で応援スタンドへ向かった。