大好きな君にエールを*番外編





と、言いつつも無理矢理隣に座ってきたシゲ。


「……怒んなって」


「怒ってない!」


「怒ってる」


「怒ってないもん!」


イキナリあんなことされて恥ずかしいの。


これも怒ってるんじゃなくて、恥ずかしいからつい……意地張ってるだけなの。


わかってよ、バカ……野球バカ。


「実貴」


「手、貸して」


「手?」


クエスチョンマークで左手を差し出したシゲ。その手に自分の右手を重ねて手を繋いだあたし。


「実貴!許してくれた?」


「許してない」


それからバスを降りるまでずっとその言い合いをしていた。


……もちろん、手は繋いだまま、ね。


泣き虫なあたしとシゲ。


これからもいっぱい泣いて、それ以上にいっぱい笑おうね。


シゲ、


野球バカでも泣き虫でも大好きだよ。


また2人で野球観戦しようね。


そしていつか、キャッチャー姿も見せてね。





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