大好きな君にエールを*番外編
「よし、野球のためにやってやるぞ!」
筆箱からボロボロのシャーペンを取り出して、課題に向かった。
でも、こんな野球バカな俺にだって好きな奴くらいは、いる。
どんな奴かって?…そんなの教えねーよ、バーカ。嘘、言います。そいつは同じクラスの…
『ガラッ』
好きな奴を紹介しようとした時だった。教室のドアが勢いよく開いた。
「あ…」
「あ、荒嶋くん?」
セミロングの髪を1つに結い、剣道着に身を包んだ彼女こそ、俺の好きな奴…倉橋麻帆だ。
「あ、びっくりさせちゃってごめんね。実は忘れ物しちゃって…」
倉橋はあははっと笑うと、自分のロッカーへ向かう。ガサゴソと音がする方へ耳を集中させる。
「…あれ?荒嶋くん、部活は?」
「あ、今日は…その…」
言葉に詰まっていると、俺の席へ近づいて課題を見つめた倉橋。