大好きな君にエールを*番外編
話しかけたい。だけど、勇気が出ない。
「どうしよう」
「迷ってる時間が勿体ない」
永松は助けてはくれない。言葉では助けてくれるけど。
麻帆の笑顔が眩しい。ずっと近くで見ていたいのに……それが叶わない。
よし。俺は歩きながらカバンの中をいそいそとあさりだした。
「何してんだ、荒嶋」
「デジカメだよ!アイツの笑顔、撮る!」
盗撮とか変態とか言われても構わない。こうやってアイツの近くを通れるチャンスも、もうないだろうし。
母ちゃんが修学旅行で必需品でしょ?と送ってくれたこのデジカメ。最初は写真なんてって思ってたけど、今はすっげー感謝してるよ。
そして、俺は麻帆の近くを通ったときに、
カシャッ
写真を撮った。
隣にいた永松にしか知られないように撮ったはずなのに、
「おーい、盗撮かよ!」
別のクラスの奴にバレていた。