大好きな君にエールを*番外編
荒ちゃんに会いたかったのにー!一目でいいから見たかったのにぃ!
「荒ちゃんはあたしのこと気づいたのかな?」
「気づいてたら声かけるよな」
「ひーちゃーーん!」
「あたしに言われても」
今日初めての悔い。荒ちゃんと同じ空間にいたのに、会えなかったこと。
重たいため息を吐いていると、担任から点呼がかかり、バス移動をするということが告げられた。
「他校生もいるんだから、迷惑をかけないようにするんだぞ!」
そんな声は右から左へ流して、どの人がカッコいいかと首を伸ばし始める女子。もちろん、男子も可愛い子探しに夢中だ。
あたしも荒ちゃん探しをしようと、一生懸命に背伸びして首を伸ばすが……姿は見えない。
「一目でも……」
そう思ったときだった。
「麻帆、あれ!」
春貴があそこを見ろよ、と合図をした。その先を辿っていくと、
「あっ……」
制服姿の荒ちゃんがバスに乗り込むところだった。