彼の視線の先、彼女。
「会わないうちに瀬璃が俺の中から消えてくって、いつか嫌いになれるって思ってた」
急に苦しくなった。
こんなにも私のことを思ってくれてたなんて知らなくて。
知ろうともしなかった自分を恨む。
だって・・私が意味の無い心配をしてたときに、こんなに私のことを考えてたんでしょ?
私だって分かるから。
忘れられない辛さが、私にも分かるから。
「でも無理だったよ、瀬璃」
「千尋・・・っ」
そう言って笑った千尋が、
どうしようもないくらい儚かった。