彼の視線の先、彼女。





「本当・・・っ意味わかんね」


「は・・・?」



急にそう言った。


それも何故か怒りながら。






「何それ、知ってんだろ。俺が誰と付き合ってるかくらい」


「・・・知ってる」



苦しくなった。

今すぐ逃げ出したくなった。




けど本棚と壱稀にはさまれて身動きが取れない状況。






「俺の事、好きなの?」


「・・・っ壱稀変だってば」



絶対、変だ。

いきなりこんなこと言わないで欲しい。





からかってる、私が壱稀の事好きな事知ってて。



彼女がいる人にそんな事言えないこと知ってて。






「聞こえない、好きなの?」



それでもなお、壱稀は私に問い掛けてくる。

苦しくて泣きそうだった。






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