彼の視線の先、彼女。
廊下で足音も聞こえない。
もう壱稀はいなかった。
好きって言われた。
彼女がいる人に、
彼女がいる好きな人に告白された。
けど、
たった今嫌われた。
「壱稀・・・」
そう小さく名前を呼んだ。
言葉なんて返ってこないのに。
なんでだろう。
私、好きっていわれたのに苦しい。
言うならばマーブル模様のような気持ちだ。
ふと窓を見つめた。
少し開いた窓からちょっと冷たい風が入る。
空を見つめると茜色に染まって綺麗だった。
けれど私に残るのは後悔だけだった。