彼の視線の先、彼女。
君の声
どこかで聞いた声が、今薄っすらと思い出す。
「瀬璃」
その綺麗な声が好きだった。
「馬鹿じゃねーの」
そう言ってケラケラ笑う声が好きだった。
「好きな奴くらい、いるっての」
照れた声も全部全部大好きだった。
カツカツカツ・・・---
あ、また聞こえた。
好きだったこの音、チョークの音。
カツカツカツ・・・---ボキッ
あ、折れた。
力みすぎたんだろうな、先生。
壱稀が隣で怒られてる。
私も居眠りがバレて怒られてるや。
あー気持ちいかも、これって夢かなぁ。