彼の視線の先、彼女。
ほかの人の変化なんて大して気づかないくせに壱稀のことになると敏感になる。
恋ってすごいと思った。
「今日さー部活行かなきゃいけないから。俺早めに上がるな」
「・・・あ、うん。鍵返しとくね」
けど、すぐ落ち込む。
だって何一つ気にしてない。
この前だってあんなことしたくせに、気にする素振りひとつ見せない。
心臓が潰されたように痛かった。
あの告白は冗談だよ、そういわれてるような気がした。
分かっていても。
いざ目の前でそんな態度を取られるとつらくて仕方がなかった。