彼の視線の先、彼女。
聞きたいけど聞けない。
傷つくから躊躇ってしまう弱い自分が大嫌い。
あの告白が単なるからかいだとしても。
私はやっぱり壱稀が好きだ。
「瀬璃ー?もう赤のラベルの本ないか?」
好きで好きで仕方がない。
男らしい後姿も。
声も手も目も。
意地悪な所も本当は優しい所も、
好きな人を一途に思い続ける所も、
弱い所も、全部全部ひっくるめて大好きだ。
「瀬璃?、聞いてるか?」
だから苦しい。
好きだから苦しい。