彼の視線の先、彼女。
どうしても欲しいって思ってしまう。
ただの我が儘なのにその気持ちを突き通してしまいそうになる。
「瀬、璃?」
「わっ、ごめん。赤のラベルだっけ?あと2冊だよ」
脚立に乗って不思議そうに私を見た。
その目に映ったと思うだけでこんなにも嬉しくなる。
あぁ、私。こんなにも壱稀が好きなんだ。
「・・・そっか。サンキュ」
「うん・・・」
もう少しで行ってしまうのに何もできない。
いつ行くとは聞いてないけど度々前の時計を見てるからきっともうすぐなんだろう。
なのに何もできないまま、ただ時間だけが過ぎてゆく。
もう止まってしまえば良いのに、自分勝手だけどそう思った。