彼の視線の先、彼女。





言いかけたのに止まる口。


苦しくなってしまうのは”邪魔”なんだと思ったから。






「壱稀が、行ってよ」

少しキツイ言い方だったかもしれない。





でもそんな配慮今の私にはできない。

できるはずがない。





「いいって部活のことは。瀬璃、帰れよ」


もう俺の傍に来るなっていわれたような気がして、拒絶されたような気もして。





気づいたら流れた涙、なんかじゃなくてあふれそうな涙をこらえてる。





目が熱い。



泣きたくなんかない。



もうこれ以上、困らせたくない。






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