彼の視線の先、彼女。
「四角関係っつー奴?」
ケラケラと笑いながら”ドラマかよっ!”って1人でツッコんでいる。
地味に寂しい奴だ・・・。
「しかもドロドロの昼ドラ」
そう言って私も笑った。
そんなぶつからないはずのドラマみたいな展開も、
どうしても重ならない恋の行方を求めることも、
一方通行の恋の切なさを知った瞬間の虚しさも、
全部、全部、可笑しくて笑えた。
「博愛主義な俺には重いなー、瀬璃もそう思わね?」
交わらない恋の先に見えるものは、真っ暗な闇だと知って。
それでも彼を追いかけて。
「うん、重い。じゅーぶん重い」
どうして光の無い、未来も無い恋に焦がれるんだろうって。
心底思った、ある春の出来事。