彼の視線の先、彼女。







どうにか千尋と近づこうとしたらしい爽香ちゃんは何故か私に協力を求めた。




でも肝心な事を私にさせるわけじゃなくて・・・、”2人で食事だったら千尋くんが嫌がるだろうから”ということだった。






彼がそんな汐らしくて思いやりのある爽香を好きになる理由も分かる。




私だったらこんな事できない。

恥ずかしいからとか、そんな理由できっと躊躇う。







「瀬璃すげーな。ガキの時はありえねーほど下手だったのに」




そうやって目の前の馬鹿にしたような笑い声で意識を取り戻した。




気づけば、彼が笑ってる。

そんなことで胸が、暖かい何かで埋め尽くされるのを感じる。




幸せだって、思った。






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