彼の視線の先、彼女。
「え、あっ。でも今日は・・・っ」
「今日はねー、瀬璃が忘れちゃったんだよー。俺のブン」
ひどいよねー、なんて笑って嘘をつく。
「あぁ、そうなんだ・・・っ」
きっと今、爽香ちゃんは傷ついた。
ショボンとして下を向いている。
でも私を恨むような目で見ることは少しも無かった。
他の子だったらきっと嫉妬心丸出しで私を睨みつけてくるのに。
爽香ちゃんはやっぱり、違った。
本当にいい子。
だから、いい子だから自分の心の汚さが余計に目立ったような気がした。