彼の視線の先、彼女。
「もう、無理って思った。あいつはどんなに追いかけても永井だけなんだって思ったから。仕方ない恋なんだよ」
日差しを受けて眩しいからなのか、彼の顔は歪んでた。
願って、望んだ状況と言葉。
けれど、けれど。
「それってズルイよ」
馬鹿な私はそんな事を言っていた。
彼を傷つけてもおかしくないことを無意識で言っていた。
「え?」
「あ、ご、ごめん」
そう思ってしまうのは私の恋を仕方ないで片付けられたようだったから。
そんなちっぽけな想いなんかで終わらせたくない、私の恋も、壱稀の恋も。