彼の視線の先、彼女。
「実はね」
その表情に、何かを感じた。
なんか疎そうに見えるらしい俺だけど、実際に疎いわけじゃない。
どっちかって言うと感づくのは速いほうだと思う。
でも今回くらいは疎いままの俺でいたかった。
「好き、なんだ・・・っ」
その言葉を聞いたとき、俺の胸は踏み潰されたようだった。
目の前が真っ白になった。
なんで、なんで?
そう何度も思った。
嘘だって、信じたかった。
俺の傍にいたのは、瀬璃なのに。
瀬璃の傍にいたのは、俺なのに。
運命はやっぱり残酷だった。