彼の視線の先、彼女。
「え?」
隣の千尋は数学の教科書を立てて漫画を読んでいた様子。
なんて奴だとツッコもうと思ったけど自分自身、話すら聞いてなかったから止めた。
「瀬璃って、・・・好きなの?」
「え?なんて、もう一回・・・」
ヒソヒソ話は今でも緊張する。
特に先生が恐かった場合は、ドキドキしてしまう。
「瀬璃ってゴリちゃんが好きなの?」
「はぁっ???!!」
千尋がそう言った瞬間、勢いで立ってしまった。
が、瞬時に後悔する。
けどその後悔も無意味に終わった。