彼の視線の先、彼女。





「辛い、ですか」



彼女は気づいてる。


俺がいつだって瀬璃ばかりな事を。






「そう、俺傷つけてるだけでしょ?」



それなのに傍にいる必要あるのかな。


俺は無いと思う。




どれだけ壱稀と瀬璃が近づこうが瀬璃だけなんだから。







「辛いですよ」



優しく笑った。


とても綺麗だった。




夏の風に絡まる彼女の髪が綺麗だった。








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