彼の視線の先、彼女。
「けど、それ以上に。幸せです」
「・・・は?」
幸せ?
瀬璃しか見てない俺の傍にいる事が幸せなの?
「千尋くんもそうでしょう?」
ドキッとした。
目をふと閉じる瞬間が瀬璃を思い出させたから。
「俺も?」
「はい。瀬璃ちゃんが壱稀を好きでも、瀬璃ちゃんの傍にいられるって幸せじゃないですか?」
確かに、そう。
爽香ちゃんに言ってる事は正しかった。
だってそうだ。
俺だって、辛いけど傍にいれることは心底幸せだと思う。
でも、小刻みに揺れる爽香ちゃんの肩は
強がってるようにしか見えなかった。