彼の視線の先、彼女。
「千尋、好きな人いたの?」
ぺタリと床に座り込んでいたけど驚きで立った。
そんなの超初耳!
人の恋愛話にイチャモンつけてたくせに千尋だっていたの?!
「いつか言っただろ。四角関係のこと」
少し、男らしい話し方をした千尋。
あまり聞く事は無かったけど本来の話し方はこっちなんだと思う。
突然の変化に少し驚いた。
「したね」
その話は春の出来事だったと思う。
うっすらと覚えてるようで、鮮やかで濃い思い出。
「俺、若干部外者気味だったじゃん?」
そう言って苦笑い。
「うん」
私もちょっと笑った。