彼の視線の先、彼女。
5回目のコール後、音は途絶えた。
「・・・っ瀬璃・・・?」
久しぶりに聞いた声。
何も変わらなかった、声。
それだけなのに心底安心する。
「千尋、・・・っあの」
勢いでかけた電話。
そのせいで何を言えばいいかなんて考えてなくて・・・、戸惑う。
「・・・っ何か、あったの?」
「・・・え?」
こんなストレートに聞いてもいいのか分からなくて。
けれどもう言ってしまっていて。
しかも千尋も戸惑ってる。