Cm
思わずあたしは歩道のでこぼこにつまずきそうになった。
ボーカル?亜基?
頭の中に?が散らばる。
「………え?なんで?」
「稜にね、心と二人でいるって言ったら"じゃあ俺も一人連れてく"って」
…嘘でしょ。
どうしよう、まさか本当に会えるなんて。
どんな人なんだろう。ステージの上みたいに、本当に素敵な人なのかな。
なんだかそわそわしてるあたしを、結衣がニヤニヤしながら見てる。
「それにしてもよかったね、心。気になってたんでしょ?ボーカル」
「え、待って、え?なんでわかるの?!」
予想外の言葉を言われて、あたしは急に恥ずかしくなった。
てかなんで結衣わかったの?
結衣は当たり前のようにさらっと言う。
「だって心ず―っと見てるんだもん。ボーカルのこと。みんなノッててガンガン腕前につきだしてるのに、心だけ、微動だにしないの」