コスモス


「明日可…明日可今頑張ってんじゃんっ!あんな小さい体で、必死に生きようとしてんじゃんっ!」

声が、あがる。

「あなたが…あなたがそんなこと言うなよな!家族だろ!?あいつのたった1人の兄ちゃんなんだろ!?こんな病気に負けるようなあいつじゃねぇよ!楽になりたいなんて…あいつはそんなこと望んでねぇよっ!あいつは…っ」
「修っ」

カズが止めに入った。
ミキがしゃくりあげる。
僕は気付いたら立ち上がっていた。

廊下には、僕の息とミキの泣き声だけが響く。


…再び、時計の針の音が聞こえた。


「…すみません」

冷静になった僕は、軽く頭を下げた。
辛いのは、僕だけじゃない。

「…いや…俺こそ…」

彼もばつが悪そうに呟く。

「…せめて…」

顔を上げた彼に目を向けた。

「せめてドナーが見つかれば…」


…ドナー?


僕が口を開きかけた時、集中治療室のドアが開いた。

全員の肩に、力が入る。


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