コスモス
第十章【抜けきれない冬】
……………
…夢を見た。
目の前に明日可がいる。
笑顔なのに、その目は寂しそうだった。
明日可が何かを言う。
返事をしようとするが、声が出ない。
何かが喉の奥につかえているようで、僕は声が出せない。
明日可が言う。
僕は答えられない。
やがて、気付く。
明日可は、僕を呼んでいる。
その理由はなに?
明日可は、何を叫んでる?
僕に、何を叫んでいるんだ?
それは…
『シュウ…』
「…ゅう、修っ!」
タケの声で目が覚めた。
バッと飛び起きる。
はっきりしない頭で、周りを見渡した。
ざわついている教室。黒板には、『修学旅行班活動について』の文字。
そうだ。
今は学校だ。
そして、修学旅行についての話し合いの真っ最中だった。
…修学旅行。
いつの間にか季節は冬へと変わり、12月半ばにはビッグイベント、修学旅行が待っていた。