コスモス

あまりに予想外な願いに、僕はしばし呆然としてしまった。
そんな僕に、彼女は若干戸惑いを見せる。

「あ、無理ならいいけど…」
「全然っ!全然無理なんかじゃないっ!!」

僕は急いで、大げさに頭を振りながら言った。

無理なわけあるもんか。
むしろ大歓迎だよ。

「じ、じゃあ、放課後げた箱のとこで待っててくれる?」

僕がそう言うと、彼女は黒目がちの瞳を細めて笑った。


今までみた彼女の笑顔の中で、一番の笑顔だと思った。


「じゃあ、また明日ね」


そう言うと、彼女は手を振りながら今度こそ団地へと帰っていった。

僕も精一杯手を振り、心の中ではそれ以上の大きなガッツポーズをしながら、それを見送った。




それは僕等の、初めての約束だった。






< 25 / 449 >

この作品をシェア

pagetop