コスモス
あまりに予想外な願いに、僕はしばし呆然としてしまった。
そんな僕に、彼女は若干戸惑いを見せる。
「あ、無理ならいいけど…」
「全然っ!全然無理なんかじゃないっ!!」
僕は急いで、大げさに頭を振りながら言った。
無理なわけあるもんか。
むしろ大歓迎だよ。
「じ、じゃあ、放課後げた箱のとこで待っててくれる?」
僕がそう言うと、彼女は黒目がちの瞳を細めて笑った。
今までみた彼女の笑顔の中で、一番の笑顔だと思った。
「じゃあ、また明日ね」
そう言うと、彼女は手を振りながら今度こそ団地へと帰っていった。
僕も精一杯手を振り、心の中ではそれ以上の大きなガッツポーズをしながら、それを見送った。
それは僕等の、初めての約束だった。