コスモス
……………
「修平、お前坂口教授のレポート出した?」
「あ、やべ、今日までだっけ?」
「早く出せよ、単位落とすぜ」
「わかってるって。先帰ってて」
ガヤガヤと出ていく友達を背に、僕はカバンをあさる。
ファイルの中にレポートを発見し、ほっとため息をついた。
急いでそれを取り出した瞬間、指に微かな痛みを感じる。
…紙で切れた指先からは、小さな赤い粒が浮かんだ。
『生きて』
僕は指をそっと舐める。
口の中に鉄の味が広がった。
全てを振り払う様にレポートを握りしめ、僕は講義室を駆け出した。
…なぁ、明日可。
僕は未だに、あの約束を守り続けてるよ。
でも時々、胸が苦しくなる。
ただ生きることほど苦しいことはないから。
だから僕は、今日も君に呼びかける。
生きるために、僕はまだ、
君を、想う。
…なぁ、明日可。