コスモス
……………
放課後が近づくにつれて、僕の中の不安は、はっきりと期待を越えていた。
彼女の彼氏の存在。
彼女にあるかもしれない『事情』。
何も知らない彼女のことを、どうやっても心から離すことができない。
どうしても、頭の隅で考えてしまう。
…放課後のチャイムが鳴り響く。
朝はあんなに待ち遠しかった放課後なのに、今では憂鬱な気分を増長させるだけだった。
「じゃ、俺ら帰るな」
カズは、まだ帰り支度のすんでない僕に向かって声をかけた。
生返事の僕を軽く気にしつつ、努めて明るい声で言う。
「まぁ…あんま気にすることねぇよ。いや、気にしなきゃいけねぇかもだけど…。ここで悩んでてもしょうがないじゃん。直接彼女に聞いてみろよ」
カズの言うことはもっともだった。
僕が一人うだうだ悩んでいたところで、解決する問題ではない。
「ああ…だな。サンキュ」
少し笑ったカズは、昨日の様に僕の肩をたたき、タケと誠二の方へ向かった。
ここで悩んでてもしょうがない。
彼女のことを何も知らないなら、知ればいいんだ。
そう前向きに考えると少し気が楽になり、急いで帰り支度を整えた。