コスモス
「まぁお前にも充分驚かされたけど」
カズはそう言って、僕の隣の柱にもたれかかり、言った。
「S大、合格おめでと」
ニヤッと笑って、僕は言う。
「…Y大生が、よく言うよ」
2人は目を合わし、ひひっと笑った。
…僕は無事、地元の公立大学に合格した。
本当はカズの受かったY大を受けたかったが、さすがに偏差値は届かなかった。
それでもやっぱり、合格した瞬間は嬉しかった。
「そろそろ行くか。タケ達しびれ切らしてるよ」
「だな。ヒロミにも挨拶してやるか」
「偉そうに」
ははっとカズが笑う。
僕もつられて笑う。
早咲きの桜は、もう満開だ。
僕たちは、みんなの待つ教室へと駆け出した。
…明日可。
君と出会ったこの場所を、僕は今日、卒業する。
『傘、ないの?』