コスモス
「今日は外に出て平気なの?」
彼女の声は、その人柄を表しているかのように優しい。
「はい。先生の許しも得ました」
「じゃあ最近は体調はいいのね」
2人は目を合わせ、優しく微笑んだ。
「ジョンが探してたわよ。今日はアスカが来るってどこかで聞いたんでしょうね」
「はい、今から行きます」
クスッと笑いながら明日可は答える。
シスターは微笑んで明日可の車椅子を押し始めた。
優しい日差しが2人を包む。
「…ねぇ、アスカ。エマから手紙が届いてたわよ」
カラカラと車椅子の音が響く。
「…はい。でも、いいんです」
変わらない笑顔だが、明日可の声には少しの淀みが見えた。
シスターは気付いたが、それには触れずに微笑んだ。
「そう…」
…柔らかい日差しが緑の上に2人の影を伸ばす。
響くのは、車椅子の音と風の音。
…ねぇ、シュウ。
あなたはちゃんと、あたしを思い出にできますか?