コスモス
第十五章【君の名】
……………
「修平、夏はどうすんの?」
ずずっとお茶漬けをすする音が七畳の部屋に響いた。
「どうするって…俺実家生だから実家戻るとかないし」
「や、そんなことじゃねぇよ。旅行とか予定とかなんかあるじゃん」
空になった茶碗をテーブルの上において、城田は言った。
「そっかー。こいつ内定決まってるんだもんな。ずりーよなぁ、夏満喫し放題じゃん」
あいた茶碗に手を伸ばし、金子がご飯を盛り始めた。
茶碗が一つ足りないせいで空くのを待っていたのだ。
「別に予定なんかねぇよ」
ビールに手を伸ばしながら、僕は呟いた。
…梅雨も終わり、季節は本格的に夏に向かっていた。
学生生活最後の夏。
「あーあ。なにが悲しくてこんなむさ苦しい男部屋で茶漬け食ってんだろ」
「文句があるなら食うな!」
「あぁ!ないないないっす!食わせて~久しぶりの米!」
コントの様なやりとりを繰り広げる城田と金子の横で、僕は携帯を見た。
時間を確認して、すっと立ち上がる。
「わり、俺帰るわ」
財布をポッケに突っ込み玄関へと向かう。
「秋桜さんとこ?」