コスモス
城田の声に、一瞬足が止まる。
「…あぁ」
前を向いたまま答えた。
軽いため息の後に城田が続ける。
「俺あんま人の恋路とかに口出すの好きじゃねぇんだけどさ。…まだ続いてんの?あの人と」
「…そんな関係じゃねぇよ」
「じゃあどういう関係よ」
城田の問いに、僕は答えられない。
金子のお茶漬けをすする音が沈黙の間に響いた。
「…心配なんだよ、お前。不安定…つうか」
ははっと苦笑いをし、僕は言った。
「お前よりは安定してるよ。内定だって出てるし」
「や、そうじゃなくて」
僕の言葉を遮り、真剣な声で言う。
「…気持ち的に、不安定なんだよ。お前も、秋桜さんも。…そんなんで、やってけんの?」
少しの沈黙の後、僕は呟いた。
「だから、そんな関係じゃねぇんだって。…じゃな」
なるべく嫌みな口調ならない様に言い、玄関を出た。
外は思ったより暑く、僕はため息をついた。
…城田の言いたいことはわかっている。
心配してくれていることも、よくわかっている。
でも、自分でもわからないんだ。
…どこに向かっているのか。