コスモス
……………
次の日も、眩しいほどの晴天だった。
「なぁんもないとこじゃけど、またおいでぇねぇ」
玄関まで出てきてくれたお祖母さんに挨拶をし、僕と秋桜は駅へと向かった。
時間もあるので、バスには乗らずに歩いて向かう。
あぜ道にセミの声が響いていた。
「…昨日、ありがとう」
少し離れて歩きながら、秋桜は呟く。
「誰にも言えなかったことだから、修平に言えてよかった。…言葉にしてみたら、結構気持ちの整理ってできるんだね」
後ろ姿の秋桜の髪が、夏風にすくわれてふわっと揺れた。
「…俺も…明日可のこと、口に出したのなんか久しぶりだったから…。改めて口に出してみて、気持ちの整理できたと思う。…ありがとう」
秋桜にお礼を言うことが、いいことかどうかはわからない。
でも僕は、伝えたかったんだ。
僕の感じたことを、全て。
…しばらく黙ったまま歩き、僕たちの間には夏の空気だけが満ちていた。
駅の手前で、ふいに秋桜が口を開く。
「…ね、あたしの名前の意味、知ってる?」