コスモス

僕の声に、秋桜は再び笑顔を向けた。

「あのね、この…最近してたリスカ、修平のせいじゃないからね。この時期…お母さんの命日が近くなると…どうしても、さ」

なるべく暗くならない様に言う秋桜。

「だから、気にしないで。それに…もう、大丈夫だから。気持ちの整理、ついたからさ。…色んな意味で」

その言葉は多分、嘘じゃなかった。
秋桜の表情からそれは読みとれる。

「俺…結局秋桜に何もできなかったな。秋桜に甘えっぱなしだった…」

少し俯く僕に、秋桜は言った。

「いいんだよ、それで。あたしにとって…修平は、いてくれるだけでよかった。それだけで、よかったよ」


…多分それは、僕にも当てはまった。

僕たちはお互いの傷に依存して、自分の傷を癒やそうとしていたんだ。
それは決して正しいことではない。

でも、そういう形もあるんだと思う。
多分、それも。


「修平は、あたしの純愛だった。歪んでたかもしれないけど、綺麗な形じゃないかもしれないけど…それでも、純愛だったって…思っていいよね?」



それも、1つの恋の形なのだと思う。



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