コスモス

「須川く…」
「俺、会いに行こうと思って」

コーヒーを飲み干し、僕は言った。
驚いた表情のミキ。

「昔約束したんだ。もし…もし、明日可が帰ってこれなかったら、俺が会いに行くって。もしかしたらもう…明日可は俺に会いたくないかもしれないけどさ。でも…」

ミキと目があう。


「俺は明日可が、まだ好きだから。過去になんて…できねぇんだ」


カランとベルが鳴った。女の子の二人組が入ってくる。
ゆっくりと、ミキは口を開いた。

「…ミキから言えることは、ほとんどない。ミキが何て言っても、須川君は行くんでしょ?」

空になったカフェオレのカップを手に取りミキは言った。

「…でも、1つだけ言わせて。明日可…明日可、昔から気持ちには不器用で、それは今も変わってなくて…。でも、明日可の行動の先には…いつも須川君がいるの。それだけは…わかってあげて欲しい」


…力強いミキの目。

昔もここで、ミキに同じ様なことを言われた。


あの時にはわからなかったことが、今はわかる。


「…うん。ありがとう」







僕の気持ちはただ一つ。

明日可が好きだということだけだ。


…今も、昔も。



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