コスモス
…トンッと、花びらが揺れた。
何故揺れたかを理解する前に、僕の視界は滲んでいた。
次々と滴が目からこぼれ落ち、その度にコスモスの花びらが揺れる。
…会えた。
僕は君に会えた。
こんなにも強く優しい、君のかけらに。
…僕は、会えたんだ。
「…シュウ」
エマが僕の肩に触れた。
風がサァッと横切る。
ぐっと目元を拭い、僕は言った。
「…ここを見せてくれて、ありがとうございました。明日可に…明日可に、会えた気がします。それに…」
僕はすっと立ち上がった。
目一杯、庭の空気を吸い込む。
「『約束』、覚えていてくれたから。きっと今も…守り通してくれてるから。それだけでもう、充分です」
君に会いたい。
声を聞きたい。
抱きしめたい。
…叶わないかもしれないのに、僕はきっとそう思い続けるだろう。
でも…。
「信じて待ちます。…明日可はきっと、帰ってきてくれるって」