コスモス
第二章【雨降りの下駄箱】
……………
始業式から数日が過ぎた。
桜の花びらは、相変わらず呑気に教室の窓を横切っている。
始めはぎこちなかったクラスの雰囲気も、今ではすっかり打ち解けていた。
あちこちで笑い声の上がる放課後の教室。
その一部で、小さなくだらない争いが勃発していた。
「だからぁ、俺は絶対沢尻エリカ派なのっ!」
「堀北真希だろ?ぜってー堀北!」
目の前で言い争うタケと誠二。
僕は頬杖をついて呆れた視線を送る。
誠二は二年になって知り合った奴だ。妙にタケとキャラが被る。
つまり、五月蝿い奴が二人に増えたということ。