コスモス


「ミキ?」

僕は思わず立ち止まる。
少しだけ俯いたミキは、同じように立ち止まって、言った。

「…明日可のこと、よろしくね」
「何それ…」
「よろしくね」

急に真剣な表情をしたミキに、笑っていた僕も思わず真剣な顔になった。

ミキのこんな表情は初めて見る。いつもは弓なりになっている事が多いミキの目が、今は真剣に僕を見つめていた。


「…大切に、したげてね」


僕に向かってはっきりと言うミキ。
突然の言葉に戸惑いを覚えなかったと言えば嘘になるが、僕はただ、同じようにはっきりと答えた。


「…うん」


小さな声だったけど、僕の声は確実に夜の小道に響いていた。












…あの日のミキの言葉。

今ならすごく、わかる。




すごくわかる、のに。













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