コスモス


……………

ロッジの外は、意外に寒かった。

まだ5月。暑くなるには早い季節か。


僕は、近くのベンチに腰掛けた。


空を見上げると、キラキラと星達が輝いている。
昔見た星空と変わりはなかった。

…明日可、呼びに行こうかな。


そう思った瞬間、後ろから聞きなれた足音がした。

振り向く僕。

明日可と目が合う。


明日可の笑顔が、そこにはあった。


「外に行ったって、カズ君に聞いたから」

そう言いながら、僕の隣に腰掛ける。
瞬間、ふわりと甘酸っぱい香りが辺りを包んだ。

「…風呂、入ったの?」

明日可の髪はまだ少し濡れている。

「うん。シュウはまだなの?」
「今、タケがシャワー使ってるから」

そう言いながら、僕は着ていたパーカーを脱いだ。
明日可のカーデの上にかける。

「シュウが風邪ひくよ?」
「大丈夫、鍛えてるから」

「ほんと?」、言いながら、ふふっと明日可が笑った。

いつもの仕草。
いつもの横顔。



胸が、キュッと痛んだ。




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