終ワラナイモノ①
『へ?』

「冗談。天体望遠鏡」

『………。』

「もしかして本気にした?」

『…どうでもいいでしょ?それより早く見ようよ』

「じゃあ準備するか」

拓海はそう言うと手馴れた手つきで望遠鏡を組み立て始めた。

あたしは拓海の近くに座ってその作業を眺める。

いつから星に興味持つようになったんだろ…

拓海っていきなり興味持ち出すから謎。

あたしはふと夜空を見上げた。

昼間天気が良かったせいか、肉眼でもたくさん星が見える。

そしてまた拓海のほうに視線を移した。

『まだ~?』

「う~ん…まぁいいか。見ていいよ。
あ、右上にあるのがペルセウス座だから」



あたしは望遠鏡の前に立ち、そっとレンズに目を近づけた。




『うゎっ…きれい…』



あたしは素直にそう思った。


望遠鏡の中には無数の星が散らばっていて、ペルセウス座らしき星も見えた。



やばい…泣きそう…


「ペルセウス座の神話って知ってる?」

感動しているあたしをよそに拓海が口を開いた。

『何それ?』
あたしは望遠鏡のレンズから目を離しながら言った。

「まぁ知らないよな。
結構深い話だから調べてみなよ」

『教えてくれないんだ?』

「うん。自分で調べた方が記憶に残ると思うし…
あ、これ宿題ね」

『なんであたしが拓海に宿題出されなくちゃいけないのよ』

「期限は特になし。
俺の気が向いたら答えてもらうから」


って人の話聞いてる?
本当自己中心的。


拓海が望遠鏡を片付け始める。

『え、もう終わり?』

「だってまだケーキ食ってないし」

『あ、そうだよ。
あたし今日誕生日なんだからケーキ食べないとじゃん』

「…お前いつかデブるな」

『たかがケーキ一個で太んないし』
< 18 / 52 >

この作品をシェア

pagetop