終ワラナイモノ①
確かにあたしは拓海を追ってこの高校に入ったけど、優子とは何の約束もしていない。

おそらくあたしと優子は腐れ縁っていうもので繋がっているのだろう。

これもまた嬉しい。


「拓海~何組だった?」
後ろの方から声がした。

「A組」
と拓海。

『誰?』

「彼女」

「私はC組。残念だったね…。」

あぁ。
あの人が拓海の彼女か。

確か中二のときに塾で知り合って、それから遠距離恋愛してたんだっけ。

拓海に彼女か…。

なんか悔しいな。

でもあたしはただの幼馴染み。
拓海の気持ちを動かすことなんてできない。

拓海はおそらくあたしのことは女として見ていないだろうから…。

「おい、何ボーっとしてんだよ。行くぞ」
拓海が話しかけてきた。

『どこに?』

「教室」

あれ?彼女とは行かないの?

そう尋ねたかったけど、今だけは拓海の横にいたい。

あたしはその言葉を飲み込んだ―…

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