終ワラナイモノ①
――Side莉奈


優子があたしから視線を逸らした。


だからあたしも優子が見ている方を見てみた。


「あ、拓弥じゃん」


『兄弟会議、終わったのかな?』


まさかケンカなんてしてないよね?


すると拓弥がこっちに向かって走ってきた。



廊下は走っちゃいけません。



「莉奈~!と優子。」

「人をオマケみたいに言うな。」

「ん?そんなつもりはなかったんだけど?」

「二重人格男が。」

「何か?」

拓弥と優子が言い争いを始めた。



まぁいつものことだ。

久しぶりに見たけどね。

「あれ?莉奈、目ぇ赤くない?」

拓弥がそう言いながら視線をあたしの方へ移した。


『あ、さっき泣いたせいかな?』

あたしは目を擦りながら言った。


「誰に泣かされたの?」

拓弥が聞いてきた。


『えっと…優子?』


「ハハっ、なんだよ優子か…って、何?ケンカでもしたの?!」


ノリつっこみ!?


「違うよ。あたしがキレたから吃驚して泣いちゃったんだよ」

しれっと言う優子。


『それ言わないでよ優子』

「えーでもケンカなんてしてないしぃ」


『じゃあいいや。でも吃驚して泣くとか…可愛すぎ』

不敵な笑みを浮かべて言った拓弥。


「それ、あたしも同感」

拓弥と似たような笑みを浮かべて言った優子。
< 39 / 52 >

この作品をシェア

pagetop