終ワラナイモノ①

偽りの恋人

「ん~♪最ッ高!やっぱり莉奈って料理のセンスあるよぉ♪」





「だね。いいお嫁さんになれそう」





『そうかな…でもおいしいなら良かった!』




優子と拓弥が口々に言ったことに、あたしはそう返した。




にしてもちょっと作りすぎちゃったかな?




拓海が食べるからいっか…



てかアイツどこ行ったんだろ?



あたしはなんとなく家の中を見回してみた。





「莉奈?どうかした?」



口にビーフシチューを頬張りながら優子が言った。




『んー…なんでもない。あ、でもやっぱちょっと行って来る』




「え?ちょっとどこ行くの?!莉奈!」


あたしは優子の質問に答えずに家から出た。




やっぱ言ったほうが良かった?



でも拓海探しに行くだけだし、言わなくていいよね?




若干春風が吹きかう中、あたしは学校に向かって歩き出した。






迎えに出るなんて図々しいかな?


でもなんか心配なんだもん。





まぁ拓海の無事を確認したら、即行うちに家に帰ればいっか。







そんなことを思ってるうちに、細い路地まで来ていた。





もしかしてこの辺に居たりして…





あたしは近くにあった建物の壁から路地を覗いた。
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