終ワラナイモノ①
「新入生入場」
というアナウンスであたしたち新入生が体育館に入場する。

体育館は教室の近くの渡り廊下を渡ってすぐのところだった。

あたしたちは二・三年生らしき人達の間を通り、クラスごとの席に着いた。

「理事長挨拶。一同起立」
ガタッと椅子の音がまばらに鳴る。

「えー本日は―…」
話長かったらヤダな。
早く終わらないかな。

理事長の話が子守唄に聞こえてきてしまったあたしは、いつの間にかウトウトし始めてしまった。

「―…一同礼っ」
と言う声であたしは目が覚め、急いでみんなといっしょに礼をした。

「着席。
続きまして新入生代表挨拶」
これやる人は試験結果が一番だった人。

相当なガリ勉さんだよね…。
あたしはそう思った。
周りの生徒達も興味なさそうにざわざわしていた。

でもそれはすぐにおさまり、
全校生徒の視線は舞台に上がる一人の男子生徒に移されていた。

『拓海!?』
と声を出してしまった。
今度はあたしに全校の人たちの
視線が移る。
あたしは軽く会釈をして、また拓海に視線を戻した。

なんで拓海が?
これは何かの間違い?

だってアイツ試験勉強しないでTVゲームなんかやってたし。
塾には通ってたけど、結構サボってたし。

いつからそんなに頭が良くなったの?

またあたしの知らない間に大きくなっちゃった拓海…

あたしは置いていかれることしか
できない…
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