メイド遊戯
お金持ちの人ほど忙しいイメージがあるからな……。

私が色々考えていると、巽さんが顔を覗いてきた。


「うわっ!な、何!?」

「何考えてんのかなって」

「いや、別に」

「気になる。言ってみろ」

「……いつもあの家にひとりってことは、ないですよね?」

「ん?そうだけど?」


巽さんはキョトンとした。

それが当たり前と言うような返事に、私は声を大きくする。


「あんな大きな家にいつもひとりって、寂しくないんですか!?」

「……ぶ、ぶふっ!あははははは!」

「なんで笑うんですか!?」

「ハナちゃんって可笑しいこと言うな。デカいのを羨ましがられたことはあるけど、そんなこと言われたのは初めてだ」


そう言った巽さんは私の手をギュッと握りしめた。

その顔は何故かとても嬉しそうで、子供のようだった。
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