メイド遊戯
男は箱から私を出し、私の手足の縄や口のガムテープをとってくれた。

そして私をリビングのソファーに座らせる。

どうやらここはこの男の家の家らしい。

とりあえず、広い。広すぎる。

声が響いている。私の狭い家ではありえないことだった。

それにこのソファー、やわらかすぎる。

これが、金持ちってヤツか。


「はい、ジュース」

「あ、どうも……で、ですね!私、誘拐同然でココにやってきたんですけど一体なんなんですか!?」


出されたジュースを飲み干して男にそう聞く。

この状況でもタダで貰ったものはありがたくいただく貧乏人の性は変えられない。


「勝さんたちが借金したのは知ってるか?」

「はい。父さんと知り合いなんですか?」

「いや、俺の親父が知り合い」

「そうなんですか……」


父さんにこんなお金持ちの知り合いが居たなんて知らなかった。



< 5 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop