メイド遊戯
「俺の名前は毛利巽」

「はい、どうも……」

「今日からこの家でハナちゃんにはメイドとして働いてもらいます」

「ええっ!?なんで!?」


話の流れがまったく読めません!

毛利巽と名乗った男は、にこにこと笑いながら話を続ける。


「勝さんたちが借金した相手って、俺の親父なんだ」

「え゛っ。じゃあ、マグロ釣るだけじゃ返せない金額だから娘の私をここでタダ働きさせる、と」

「物分りが良いな!」


自分は小さなときから不幸な娘だと思ってはいた。

父さんも母さんも後先考えずにお金を使う人で、いつも家計は火の車。

欲しいオモチャは買ってもらえず、ランドセルは近所のお姉ちゃんのぼろぼろのお下がり。

友達と遊ぶにもお金がないので遊べない。

バイトをして稼いでも、そのお金は家のことに回される。

それでも父さんと母さんのことは嫌いにはなれなかった。

……だが、今は違う。
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